愚かなる秋 尾形龜之助 (附 初出復元)
愚かなる秋
秋空が晴れて
緣側に寢そべつてゐる
眼を細くしてゐる
空は見えなくなるまで高くなつてしまへ
[やぶちゃん注:初出の大正一五(一九二六)年十月発行の『亞』二十四号では、以下の通り。題名も異なる。
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愚かな秋
秋空が晴れ
今日は何か――といふ氣もゆるんで
緣側に寢そべつてゐる
眼を細くしてゐると
空に顏が寫る
「おい、起ろよ」
空は見えなくなるまで高くなつてちまへ!
*
初出形は何だか、山村暮鳥の「空」の出来そこないのような印象であるのに対し、決定稿では虚空の下の詩人の、秋のきっぱりとした孤愁が、鮮やかに研ぎだされている。]

