十二月の晝 尾形龜之助 (附 初出復元)
十二月の晝
飛行船が低い
湯屋の煙突は動かない
[やぶちゃん注:私は「湯屋」は絶対に「ゆうや」と読みたくなる人種である。
本詩篇は初出の昭和二(一九二七)年一月発行の『亞』二十七号では、題名と本文が異なる。以下に全篇を示す。
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煙草と十二月の晝
演習歸りの飛行船が低かつたが
風呂屋の煙突は捕ひやうともしないで立つてゐた
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「捕ひやう」はママ。初稿は「飛行船」も「煙突」も自律的で能動的な擬人性が顕著であったものを、決定稿ですっかり拭い去っていたということが判る。]