白(假題) 尾形龜之助 (初出及び再録稿復元)
白(假題)
あまり夜が更けると
私は電燈を消しそびれてしまふ
そして 机の上の水仙を見てゐることがある
[やぶちゃん注:「電燈」は底本本文では「電灯」であるが、底本校異表では詩集稿は『電燈』となっており、それを採用した(正直、この秋元潔氏の「校異表」には幾つかの不審な(詩集稿の不備と言う意味に於いて)点がある。初出の昭和三(一九二八)年二月発行の『詩神』では、以下の通り。
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白(假題)
あまり夜が更けると
私は電燈を消しそびれてしまふ
たまたま机の上に水仙をさして置くことがある
床に入つて水仙を見てゐることがある
(何時までも眠らずにゐると朝の電車が通つてゐる)
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更に、本詩篇は十ヶ月後の同年十二月後の『詩と詩論』にも載るが、そこでは以下の如く、本決定稿にほぼ酷似した改稿がなされてある(冒頭の「あまり」がないこと、二連構成であること、「そして」の後の一字空けが異なる)。
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白(假題)
夜が更けると
私は電燈を消しそびれてしまふ
そして机の上の水仙を見てゐることがある
*]
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