二 リルケ 茅野蕭々譯(詩集「冠せられた夢」の「愛する」詩群の第二章)
二
リルケ 茅野蕭々譯
それは白菊の日であつた。
私はその重々しい華美(はでやか)さが恐ろしい位だつた……
その時、あなたが私の魂をとりに來た。
夜ふけに。
私は恐ろしかつた。あなたはやさしく靜に來た――
丁度私は夢であなたを思つてゐた。
あなたは來た。童話の歌のやうに靜に
夜が鳴響いた……
[やぶちゃん注:本詩篇は前にも出した一八九六年刊のリルケの詩集「冠せられた夢」(茅野訳の標題。原題は“Traumgekrönt”)の「愛する」詩群二十二章の中の第二章である。]
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