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2016/12/23

(私は折々一人の母にあくがれる。)    リルケ 茅野蕭々譯

 

 (私は折々一人の母にあくがれる。)

           リルケ 茅野蕭々譯

 

私は折々一人の母にあくがれる。

白髮に蔽はれた靜かな女に。

その愛に始めて私の自我が花咲かう。

私の魂へ氷のやうに忍入つた

あの荒い憎みもその母には消されよう。

 

その時我々は寄添つて坐らう。

暖爐には火が靜に鳴るだらう。

私は愛(いと)しい唇の語ることに耳傾け、

平和は茶の瓶の上に漂はう、

ランプをめぐる蛾のやうに。

 

 

[やぶちゃん注:本詩は底本校注に、「リルケ詩抄」では、第二連三行目が「私は愛(いと)しい唇の語ることに耳傾け。」に、同四行目が「平和は茶の瓶の上に漂はう。」となっているのを、後の「リルケ詩集」で読点に訂正されたのを受けて、改めた旨の記載がある。私もその訂正に従うこととした。]

 

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