(神よ、私は數多の巡禮でありたい) リルケ 茅野蕭々譯
(神よ、私は數多の巡禮でありたい)
リルケ 茅野蕭々譯
神よ、私は數多の巡禮でありたい
長い列であなたの處へ行くため、
又あなたの大部分となるために。
生きた並木を持つ神、花園よ。
私のやうにかうー人で行けば、
誰が認めよう、誰が私のあなたへゆくを見よう。
誰を誘はう。誰を勵まさう。
誰をあなたに向はせよう。
何事もないやうに――人々は笑ひ續けよう。
でも私は私のやうに行くのを喜ぶ。
かうすれば笑ふ人は一人も私を見ることが出來ないから。