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2016/12/20

戀人の死   リルケ 茅野蕭々譯

 

 戀人の死

           リルケ 茅野蕭々譯

 

死は我々を取つて沈默の中に押入れると

萬人の知ることだけを彼は死について知つてゐた。

しかし彼女が彼から引奪(ひつたく)られはせずに、

そつと彼の眼から解きほどかれ

 

未知の蔭へ滑り去つたとき、

そして彼方の人々は今

月のやうに彼女の微笑で

彼等の習(ならは)しをよくするのを感じた時、

 

その時死者たちは彼の知己となつた。

恰も彼女によつて一人一人と

全く近い親戚になつたやうに。

 

 

[やぶちゃん注:底本校注によれば、この詩の原詩には十一行目『の後に少し、その後に三行分の一連があると思われるが、『詩集』でも訳出していない。単なるミスか何らかの意図があったかは不明』とある。私はドイツ語を解せないので、これを注するに止める。]

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