(時間は傾いて、明るい) リルケ 茅野蕭々譯
(時間は傾いて、明るい)
リルケ 茅野蕭々譯
時間は傾いて、明るい
金属の響で私に觸れ、
私の感官は慄へる。私は感ずる。私は出來る――
そして私は彫塑的な日をつかむ。
私の見なかつた中は、何も完成してゐなかつた。
總べての生成は止まつてゐた。
私の眼は熟してゐる。そして花嫁のやうに
誰にでもその思ふものが出來るのだ。
何でも私には小さ過ぎはしない。私は小さくても愛する、
そして金地へ大きくそれを畫いて
高く捧げる。誰にかは知らないが
それは魂を解きほぐす……
[やぶちゃん注:Андре́й
Рублёв!]