李徴の詩 中国語読み音声データ アップ
唐代伝奇の李景亮撰「人虎傳」、それをインスパイアした中島敦作「山月記」に出る悲劇の主人公、李徴が作中で詠ずる即興詩――
偶因狂疾成殊類
災患相仍不可逃
今日爪牙誰敢敵
當時聲跡共相高
我爲異物蓬茅下
君已乘軺氣勢豪
此夕溪山對明月
不成長嘯但成嘷
偶(たまたま)狂疾に因りて殊類(しゆるい)と成る
災患 相ひ仍(よ)つて逃(のが)るべからず
今日 爪牙(さうが) 誰(たれ)か敢へて敵せんや
當時は聲跡 共に相ひ高かりき
我れは異物と爲りて蓬茅(ほうばう)の下もとにあれども
君は已に軺(えう)に乘りて氣勢 豪なり
此の夕べ 溪山 明月に對し
長嘯を成さずして但だ嘷かうを成すのみ
――ふとしたことから精神を病み、狂気の結果、身は畜生となってしまった……
――災難が内からも外からも襲ってきて、この不幸な運命からもはや逃れるすべはない……
――虎の身となった今、俺のこの鋭い爪や牙に、誰があえて敵対することができようか、いや、だれにもできぬ……
――思えば、かつて一緒に進士に登第したあの頃、俺も君もともに秀才と褒められもし、それだけの業績も残したものだった……
――ところが今、俺はけだものとなって叢に隠れ、
――一方、君は出世し、立派な車に乗ってすばらしい勢いではないか。
――この夕べ、渓谷や山々を照らす明月に対峙し、
――長く詩をうそぶくことも出来ず、ただただ、悲しみのあまり……短く、吠え叫ぶ、ばかりだ……。
★私はこの詩を中国語で聴いたことがない。嘗て教師時代、教科書会社の教案附録等などでも目にしたことも聴いたこともなかった。そこで中国語に堪能な私の教え子に、これを朗読して貰い、音声データをかなり以前に送って貰っていた。容量が大きいので仕舞っておいたのだが、サイト容量が大きくなったので、遅まきながら、今日、
『中島敦「山月記」授業ノート 藪野直史』
に――★李徴の詩中国語読み★(ダウンロード形式 9.78MB)――としてデータ・アップした(ここでは容量が大き過ぎでアップ不能。当該サイト・ページの全体の4/5下がった辺りに配してある)。
是非、お聴きあれ…………
……李徴の「絶対のかなしみ」が生(なま)で伝わってくる…………

