斷章 22 山村暮鳥
斷章 22
わしは愛されるのはくるしい
わしは愛される資格がないからだ
わしは何かしら
此の天地の間にふさがるやうな大きな愛を感じてゐる
それでもうわしの胸は一ぱいだ
わしを愛するかはりに人を愛してくれ
わしは此の胸の中のものを吐きださう吐きださうと
苦しみ喘いでゐるのだ
このうへわしを愛してくれるな
ひとびとよ
しかしわしは愛する
愛さないではゐられないのだ
(ドストヱーフスキイの言葉)
[やぶちゃん注:原典では「(ドストヱーフスキイの言葉)」は前行末より約八字下げ位置から配されてあるが、ブログのブラウザの不具合を考えて上げた。原典では本詩篇は見開きで、最後の「愛さないではゐられないのだ」の一行のみが左ページに配されているのであるが、その印字は、右ページの本文位置よりも二字分下がって印字されてある。しかし、次の詩篇の行頭位置は同じ高さから印字されているのが紙を透かして薄らとではあるが確実に見えており、この一行が特異的確信犯として二字下げで印字されているのではないことは明白であり、彌生書房版全詩集でもそのような措置はなされていないことから、同位置で示した。なお、前篇と同様に本篇の言葉がドストエフスキーの何に依拠するものかは検証していない。発見し次第、追記する。]

