LA BONNE CHANSON第三篇 LONGING. 山村暮鳥
LONGING.
黑光(くろひか)りの線が一條(ひとすじ)、
あゝ黃ばんだ麥の畑から夕立の彼方(むかふ)の
都會へ走ります。
而(さう)すると燕の群がおどろいて、
白楊(ポピユラ)の綠にかくれます。
あゝ黃ばんだ麥の畑からあこがれの私の心が
走ります、
南へ、南へ‥‥‥
薔薇色の空によく似たお前の眸(ひとみ)へ……
[やぶちゃん注:「LA BONNE CHANSON」五篇の第三篇。標題「LONGING」(ピリオドはママ。名詞であることを示すためか)は「あこがれ・憧憬・思慕・切望・熱望」の意。
「白楊(ポピユラ)」キントラノオ目ヤナギ科(ポクラ)ヤマナラシ属 Populus のポプラ類であるが、本邦に自生する種はヤマナラシ属ヤマナラシ(山鳴らし:ヨーロッパヤマナラシ変種ヤマナラシ Populus tremula var. sieboldii)・ドロノキ(泥の木:ヤマナラシ属ドロノキ Populus suaveolens)・チョウセンヤマナラシ(Populus
tremula var. davidiana)の三種で、それに対し、明治期に導入された外来種を一般には「ポプラ」と呼んでいるようである。外来種は、ウィキの「ポプラ」によれば、『外来ポプラの和名は非常にややこしく、整理された和名がない。そのため同一種でも別名や別表記が多く、学術論文ですら混乱しており、植物園などの表記にも不統一なものが多い。以下の名称も統一名称ではない』とした上で、以下の三種他を挙げてある。『Populus
nigra ヨーロッパクロポプラ 別名・ヨーロッパクロヤマナラシ。ヨーロッパ原産。日本には明治中期に移入され、特に北海道に多く植えられた』。『Populus
nigra var. italica セイヨウハコヤナギ 別名・イタリアポプラ/イタリアヤマナラシ。ヨーロッパクロポプラの改良種。直立する羽状の美しい樹形で知られ、並木に適する』。『Populus
tremuloides カロリナポプラ(Carolina Poplar)別名・アメリカポプラ・アメリカヤマナラシ・カロライナハコヤナギ等。北アメリカ東部原産。イタリアポプラのように高く伸びず、樹高が低くて管理しやすく暑さに強いため、市街地の街路樹としてよく利用される』とある。後者の外来ポプラの街路樹を見馴れている我々は直ちにそれらしか想起出来しない可能性が高いが、しかし、暮鳥は「白楊」と本文漢字表記をもしており(「ポピユラ」は寧ろ、音のその音のハイカラさ(西洋幻想)や響きの独特の雰囲気を狙ったものとも考え得る)、この表記の方を重く見るなら、在来種の「ヤマナラシ」或いは「ドロノキ」を指すことになる。]
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