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2017/03/16

洋館の靑き窓第一篇 冬   山村暮鳥

 

  

 

感冒の熱と色に眼を病む

冬の日の鈍いうれひ。

 

冬の日の鈍いうれひ。

 (一ひらごとに蟲喰んで意識に殘る

 黑い樹の葉。――)

 

靑い、靑い空のやうな海上を

北へ

さらに北へ、

汽笛を鳴らして馳つた汽船は

まだ歸らない!

 

五月……

………

いまは十一月も末である。

ああ、冬の日の鈍いうれひよ

私は今もその汽船を待つてゐる。

 

[やぶちゃん注:これも底本では「『自然と印象』から」というパート大見出しの中の、本「冬」以下を、

 

 洋館の靑き窓 六編

 

と総標題する(前の「航海の前夜 五篇」は底本自体が「篇」であったが、ここは「編」である)。その第一篇である。

「蟲喰んで」「蟲」は底本の用字。「むしばんで」。

「馳つた」「はしつた」と私は訓じたい。]

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