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2017/03/15

畫   山村暮鳥

 

  

 

畫師(ゑし)なれば畫をかく業ぞ

 巧みなる、なべて夢よと

  ああ、人は世をこそ語れ。

 

刷毛(はけ)とりて立つ我が前を

 月浴(あ)みて女、男の

  行きかよふ、譬へば潮。

 

しばらくは、また、黃と紅(あか)と

 紫の色浮けあふて

  消えぬ畫となりぬ、胸の上(へ)。

 

夜の街、――さながら物の

 生きてみな動ける中に

  ふと見ゆる君がうしろ畫。

 

[やぶちゃん注:前の「壁」とともに、明治四〇(一九〇七)年十二月十五日発行の『文章世界』に掲載(先に示した白神正晴氏の山村暮鳥研究サイト内の山村暮鳥年譜に拠った)。

 

標題及び詩中の「畫」は、韻律から見ても「ゑ」と訓じているものと思われる。言わずもがな、第一連の「業」は「わざ」である。第二末尾の「潮」は「うしほ」と私は訓じたい。最終行が一読、忘れ難く、まさに「畫」、映像としてその姿が心底に焼き付けられるではないか。]

 

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