洋館の靑き窓第三篇 瞳 山村暮鳥
瞳
海岸に、うちよる波の柔かさ
疲勞を覺え、
とろとろと溶けゆく瞳。
冬、
冬はことさら、靑白き女の客の
美しい野獸の瞳。
冬、
冬はことさら、とろとろと
溶けゆくランプ……。
相對すけれど女は默し
何所か見知らぬ海岸に
打寄る波の柔かさ、
眠らうとする疲勞をきいてゐる。
[やぶちゃん注:「洋館の靑き窓」六編の第三篇。]
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瞳
海岸に、うちよる波の柔かさ
疲勞を覺え、
とろとろと溶けゆく瞳。
冬、
冬はことさら、靑白き女の客の
美しい野獸の瞳。
冬、
冬はことさら、とろとろと
溶けゆくランプ……。
相對すけれど女は默し
何所か見知らぬ海岸に
打寄る波の柔かさ、
眠らうとする疲勞をきいてゐる。
[やぶちゃん注:「洋館の靑き窓」六編の第三篇。]