模樣 山村暮鳥
模樣
かくぜん
めぢの外
秋澄み
方角
すでに定まり
大籃色天
電線うなる
電線目をつらぬき。
[やぶちゃん注:「かくぜん」私は「廓然」で採る。心の広く蟠りのないさま、だ。「劃然」ではつまらぬ。
「目路・眼路」で目に見える範囲、見える限りの意であろう。
「大籃色天」現行の諸本では「大藍色天」となっている。なるほど、大いなる天の色が深い藍色をしているといいたいのか? そうかな? 我々の世界はただ、ちょいと大きな竹籠のようなものに過ぎんのではないか? 私はこれを誤植とは全く思わない人種であることを告白して、この注を閉じる。注をつけるのが阿呆らしくなった気がする。]