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2017/03/22

庭園   山村暮鳥

 

  庭園

 

庭園には沼がある

沼は永遠である

その原質より言へば結晶的である

又其の機能性として草木の纖維の母胎である

沼のかたはらに立てるは女神である

女神が耳を傾ける

沼は動搖をはじめる

水が輝く

もろもろの生物が形を成す

女神が目をひらく

風車がくるくる𢌞る

存生一切の苦惱があきらかになる

水は昇揚と沈泌との意志分裂に靑松褪める

水には硫黃が燻(い)ぶる

すべての色が赤くなる

女神が唇をうごかす

闇は光に遂はれて水の上が明るくなる

水が湧きかへる

いちめんの火となる

にんげんがあらはれる

靈が根づく

にんげんの右手には天國があり左の手には地獄がある

そして額には中心をさだむる太陽がある

すべては黃金色になる

女神が微笑する

水はたちまち愛となる

智慧と榮光をめがけて噴水がはじまる

その周圍を鳥が飛ぶ

にんげんに二つあり、それが交接する

星が瞬く

女神が靜かに步きだす

噴水はいよいよさかんになる

にんげんの五つの感覺がみんな開く

そして微妙な音樂がおこる

 

[やぶちゃん注:「くるくる」の後半は底本では踊り字「〱」。

「沈泌」不詳。「沈祕」を想定したが、こんな熟語も見当たらぬ。前の「昇揚」から考えると「沈潛」が想起はされるが。但し、「泌」には流れるの意があるから、沈み込んで流れるの意としては対語たり得るとは思うが、しかし、和漢語としてはどうも奇天烈な熟語にしか私には見えぬ。識者の御教授を乞う。]

 

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