春と若き人々の思想 山村暮鳥
春と若き人々の思想
幼兒の如き瞳よ!
靑き瞳よ!
忘却の苑(その)にすてられた春の憂愁が心好く匂ふ。
薄綠りの晝の光線、
煙りのやうな絲を垂れて柳が風もないのに搖ぐ時、
あゝ經驗の中心より
滅びひろがる夢の灰色よ!
されど若き人々の思想は、
忍び、
見よ彩色した乳色の如く赤き肌衣にかくれて歡ぶ。
[やぶちゃん注:「絲」は底本の用字。
「搖ぐ」「ゆらぐ」。
「肌衣」「はだぎぬ」。肌着。]
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春と若き人々の思想
幼兒の如き瞳よ!
靑き瞳よ!
忘却の苑(その)にすてられた春の憂愁が心好く匂ふ。
薄綠りの晝の光線、
煙りのやうな絲を垂れて柳が風もないのに搖ぐ時、
あゝ經驗の中心より
滅びひろがる夢の灰色よ!
されど若き人々の思想は、
忍び、
見よ彩色した乳色の如く赤き肌衣にかくれて歡ぶ。
[やぶちゃん注:「絲」は底本の用字。
「搖ぐ」「ゆらぐ」。
「肌衣」「はだぎぬ」。肌着。]