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2017/03/27

自分は此の黎明を感じてゐる   山村暮鳥

 

  自分は此の黎明を感じてゐる

 

自分は感じてゐる

此の氷のやうな闇の底にて目もさえざえと

ふゆの黎明を

遠近(をちこち)でよびかはす鷄の聲聲

人間の新しい日をよびいだすその聲を

ぐらすのやうに冴えかへる夜氣

枯れ殘つた草の葉つぱの上に痛痛しい雪のやうな大霜

なにもかもはつきりとした世界の目ざめ

此の永遠の黎明を

自分はつよく感じてゐる

それをどんなにのぞんでゐるか

而も夜はながい

おもへ

朝日にかがやく冬の畑を

大地の中で肥えふとる葱や大根を

それから人類のことを

 

[やぶちゃん注:太字「ぐらす」は原典では傍点「ヽ」。]

 

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