雪の詩 山村暮鳥
雪の詩
ちらちらと落ちてきた
雪の群集
どんよりとした空の彼方から
これが冬の飾りであるのか
此の世界への贈り物であるのか
純銀の街と村村と
此の凍えてゐる人人の上にふるか
雪は人間を意志的にする
雪は力を堆積する
そして人間を神神と一しよにする
祝福せよ
子ども等はうれしさに獅子のやうだ
ちらちらと落ちてくる雪
雪の殘忍な靈魂(たましひ)
このうつくしさを頰張り貪り
くるへ
雪もおどれ
雪のやうな子ども等
[やぶちゃん注:「行きもおどれ」の「おどれ」はママ。]