黃い月 山村暮鳥
黃い月
おぼろ夜の
水のぬるみに擽(こそぐ)られて
ころろと呟(つぶや)く(かへる)、
おお、忘れてゐた悲哀の
その聲のわかさよ。
祭禮(まつり)のやうな性の遠方(をちかた)、
季節は夢のあたらしい蛙の聲の合唱(コオラス)に
ふけてゆく焰(ほのほ)の太鼓。
異郷ならでは黃(きいろ)い月、
それもまた心の色か。
[やぶちゃん注:「焰」は底本の用字。]
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黃い月
おぼろ夜の
水のぬるみに擽(こそぐ)られて
ころろと呟(つぶや)く(かへる)、
おお、忘れてゐた悲哀の
その聲のわかさよ。
祭禮(まつり)のやうな性の遠方(をちかた)、
季節は夢のあたらしい蛙の聲の合唱(コオラス)に
ふけてゆく焰(ほのほ)の太鼓。
異郷ならでは黃(きいろ)い月、
それもまた心の色か。
[やぶちゃん注:「焰」は底本の用字。]