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2017/03/27

家族   山村暮鳥

 

  家族

 

わたしの家は庭一ぱいの雜草だ

わたしは雜草を愛してゐる

まるで草つぱらにあるやうなわたしの家にも冬が來た

鋼鐵(はがね)のやうな日射の中で

いのちの短いこほろぎがせわしさうにないてゐた

わたしらはそのこほろぎと一しよに生きてゐるのだ

 

日一日と大氣は水のやうに澄んでくる

いまはよるもよなかだが

こほろぎはしきりにないてゐる

わたしは寢床(ねどこ)の上ではつきりと目ざめた

子どもを見ると

子どもはしつかりその母に獅嚙みついてゐるではないか

そしてぐつすりねこんでゐる

おお、妻よ

お前もそこでねむれないのか

しんしんと泌み徹るこの冷氣はどうだ

もつとおより

一ツ塊(かたま)りになるまで

 

[やぶちゃん注:太字は原典では傍点「ヽ」。「せわしさうに」はママ。諸本最後から三行目の「しんしんと泌み徹るこの冷氣はどうだ」と勝手に〈訂している〉が、以前、これは誤りでないから、その変更には私は従えない。]

 

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