船にて 山村暮鳥
船にて
暗礁のある
こゝは岬のほとりだ
うみは深い嚴肅にひえびえと
たちあがる荒い波波
その波波
黑黑と渦まく力
大きな帆布のやうに自分はのぞみを孕んでゐる
そして船は自分達をみんなのつけてはしつてゐる
みよ、かるがると一枚の木の葉のやうにはしつてゐる
此の船はどこへゆくのか
そんなことをしつてゐるものはひとりもない
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船にて
暗礁のある
こゝは岬のほとりだ
うみは深い嚴肅にひえびえと
たちあがる荒い波波
その波波
黑黑と渦まく力
大きな帆布のやうに自分はのぞみを孕んでゐる
そして船は自分達をみんなのつけてはしつてゐる
みよ、かるがると一枚の木の葉のやうにはしつてゐる
此の船はどこへゆくのか
そんなことをしつてゐるものはひとりもない
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