紙鳶 山村暮鳥
紙鳶
紙鳶はみんな
どの子どものもみんな
あるだけのいとがのばされ
その糸のさきで
たかく
ちひさい
けれどゆつたりした長い尻尾だ
みんなもう天風(てんかぜ)についてゐるのだらう
よう
ここまであがつて
來てみな
とでも言つてゐるやうにみえる
紙鳶になれたらどんなだらう
いや、いや
どの子どもたちも
みんな銘々
自分々々の紙鳶になつてゐるのだ
[やぶちゃん注:「紙鳶」老婆心乍ら、「たこ」と読む。
彌生書房版全詩集版。ここで初めて刊行詩集のテクストと完全相同のものが出現する。
*
紙鳶
紙鳶はみんな
どの子どものもみんな
あるだけのいとがのばされ
その糸のさきで
たかく
ちひさい
けれどゆつたりした長い尻尾だ
みんなもう天風(てんかぜ)についてゐるのだらう
よう
ここまであがつて
來てみな
とでも言つてゐるやうにみえる
紙鳶になれたらどんなだらう
いや、いや
どの子どもたちも
みんな銘々
自分々々の紙鳶になつてゐるのだ
*]