生理的な風景 山村暮鳥
生理的な風景
「泥豚のあたまが光つてゐる
泥豚はなんにもしらないのだ
さあ……これからだ
秋の内部のすみつこには
JOKERがやんで寢てゐる
さみしいのは
鼻の孔からすひこんだ鮮麗な愛で
玻璃器のうしろで
みつけられてしまつた
つめを研ぐ陰影、アーメン
窓で搖れる蜀黍の葉から
うつかりともう冬が
ほそいけむりをたてはじめた」
こんなひとりごとを
わたしの瞳が言うてゐる
[やぶちゃん注:底本ではこの後に『〔以上大正四年詩篇から〕』という編者注がある。]
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生理的な風景
「泥豚のあたまが光つてゐる
泥豚はなんにもしらないのだ
さあ……これからだ
秋の内部のすみつこには
JOKERがやんで寢てゐる
さみしいのは
鼻の孔からすひこんだ鮮麗な愛で
玻璃器のうしろで
みつけられてしまつた
つめを研ぐ陰影、アーメン
窓で搖れる蜀黍の葉から
うつかりともう冬が
ほそいけむりをたてはじめた」
こんなひとりごとを
わたしの瞳が言うてゐる
[やぶちゃん注:底本ではこの後に『〔以上大正四年詩篇から〕』という編者注がある。]