妖異饕餮點燈夢
……僕は今やつてゐるのと同じやうに自分の書齋で柴田宵曲文集第六卷(平成三(一九九一)年小澤書店刊)「妖異博物館」を開いてパソコンで注を打つてゐる。――
……ところが……その底本の本文には……饕餮文(たうてつもん)を鐫(ほ)り込んだ小さな小さな銅製の楯が幾つか並らんでゐて……それらの楯の上には……これまた――小さな小さな青白い人魂が白氣を騰(のぼ)らせ乍ら……ちらちらと燃えているのである……
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といふ夢を、今朝、見た。
僕は遂に――妖怪の力を借りて注を打つ――眞怪――となつたらしい。