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2017/03/17

えぴそおど1・2・3・4   山村暮鳥

 

 ほろびゆくもの

 

えぴそおど

 

  1

 

ぶすぶすと希望(のぞみ)のほめき、

冷酷な冬の理性の

光より薄きをんなの愛、

不安の空は信實なるゆめを求め

灰色にふせし眼瞼(まぶた)よ。

しづかなる力を感じ

而して躊躇(ためら)はず、

赤きしぐなる燈、上る。

 

空をさ迷ふ樹葉(このは)の如く

わが蝙蝠は悲しみ、

こころの闇を飛びかふ。

 

[やぶちゃん注:太字「しぐなる」は底本では傍点「ヽ」。]


 

 

  2

 

冬は信實な心、

冬は斷末魔の聲、

冬はかなしき接吻(くちづけ)なれ、

或は、死ぬる女の美しさ、

勿體ないほど美しいその雪空の

そつと沁(にぢ)んでゆく色を

ぱんかの如く、

餓えたわが靈(たましひ)は

しかと兩手(もろて)に摑(つか)んで泣く。

 

[やぶちゃん注:太字「ぱん」(「パン」のこと)は底本では傍点「ヽ」。「餓えた」はママ。]

 

 

 

  3

 

暖爐の上なる猫は

こころよく眠り、

圓い時計盤より滴る靑い夢、

垂直に、力をぬいて、

ぶらりとぶら下がつた銅色の振子(ふりこ)に

すがりつき、

あらゆる幸福は默(もだ)す。

「時」は一つ所で

ながれてゐる、

そして「現實」を凝視(みつ)めてゐる。

 

 

 

  4

 

にぎやかな線畫の如く、

水かげろふが搖れる。

 

どこかで、

光が呼んでゐる。

いのちよ、何がうれしいのか、

もののほめきの忍びやかなる

さぐりよるめしひの手つき、

芽は感覺に――

 

[やぶちゃん注:「水かげろふ」老婆心乍ら、「水陽炎」。水面が細かく揺れることで、太陽などの反射光が揺らめくように水辺や岸や船縁(ふなべり)などに当たって、きらきらとする現象を指す。]

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