妹におくる 山村暮鳥
妹におくる
枯葉の下からぞつくりと靑い芽をだしてゐるみづくさ
すんなりとのびてゐる木木
ひらひらしてゐるのはその木木の嫩葉だ
あたりにさへづる鶸やのじこ
落窪からちろちろと雪解の水がながれてゐる
その水のきよらかさ
その水のきよらかさは
いもうとよ
それはそなたの愛のやうだ
ひとにかくしたくちつけにとけてながれるそなたの愛だ
[やぶちゃん注:太字「のじこ」(鳥の名で既出既注)は原典では傍点「ヽ」。
「妹」不詳。
「嫩葉」「わかば」と訓じておく。
「雪解」恐らくは「ゆきどけ」と訓じているものと思う。]

