雪の翌日 山村暮鳥
雪の翌日
煙突からのぼる淡い淺黃のけむりのゆく方(へ)よ……
柳で光る水蒸氣、
孕(はら)んだ雌犬(めいぬ)を嬲(なぶ)る若いSTATIONの驛夫等(えきふたち)の、む、ごたらしい事つたら。
響の、銀の軒の點滴(しづく)!
家每に
物を、
干してる。
何處(どこ)かで女の
笑ふ聲。
そうした、
複雜な色彩ばかりの生活にも縷(いと)のやうな惱みがある。
斑消(むらぎ)えの春の雪――
まぶしいその眸(め)は何をきくのか、
街上のあちらこちらの乾いた場所(ところ)に夢のやうな雜草(はぐさ)が生(は)えてゐる。
[やぶちゃん注:最終連冒頭「さうした」はママ。]

