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2017/03/20

りたにい ⑴・⑵    山村暮鳥

 

  りたにい ⑴

 

闇が踊つてゐる

闇が泣いてゐる

信愛はみがきあげたよるの光澤(つや)で

苦痛の花のほめき

 

をんなのやうな惱みにふる

みだりがはしい音樂の雪

闇が踊つてゐる

沈默がくるつてゐる

 

ともしびをとりまくたくさんの猫の瞳(め)

心よ私はいたはらう

心よ私のいつもの懺悔の芽を……

 

なぜとなら生命(いのち)は刹那

奇異と愛とにねむりこけ

憂鬱をめがけて行く

 

[やぶちゃん注:「りたにい」(フランス語・ドイツ語:Litanie/英語:litany/ラテン語:litania(リタニア))でローマ・カトリック教会に於ける荘厳に連続させる祈り、「連禱」のこと。「キリエ、エレイソン」を以って始まり、「アニュス・デイ」をもって閉じられる。音楽用語としても用いられ、「パレストリーナ」・「ラッソ」等の多声作曲もある。]

 

 

 

  りたにい ⑵

 

   Ⅰ

 

空よ。聖靈のやうな力を……

なにか動搖してゐる

草のはつぱの

その陰影(かげ)のあらし

わたしの唇(くち)はひだまりの

やはらかさにさヘ靑まない

 

どこからどこへ

風よ、あらしよ

わたしにも與へておくれ

聖靈のやうな力を

その漂浪(さすらひ)のなみだを、乳房を

 

   Ⅱ

 

うちもだす光線

傷いた光線

 

おもひでが

ぽつと赤らんだ

(こころよい葬ひの悲曲

それが影のやうにすぎてゆく

 

傷いた光線

よろこぶ光線

 

晝もなほ暗い煤烟(けむり)のふところである

たゞれくるめき

めをなきつぶして入日がはしる

あとをもみずにはしる

 

よろこぶ光線

狂ふ光線

 

[やぶちゃん注:「Ⅱ」の第二連の三行目冒頭の丸括弧の〈閉じる〉(『)』)がないのはママ恐らくは次行の末にあると考えてよいように私には思われる。即ち、

 

おもひでが

ぽつと赤らんだ

(こころよい葬ひの悲曲

それが影のやうにすぎてゆく)

 

である。大方の御叱正を俟つ。]

 

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