冬1・2 山村暮鳥
冬
1
わがかなしみは故もなし。
わがかなしみはひえびえと
過ぎにし日を、
わけゆく風なれ。
冬のなさけのまぶしさに、
鸚哥(ゐんこ)の如くうつむきて、
うつろひ易き心の
しづかなるまぼろし描く。
2
希望は芒の穗にひかり、
冬は聲無き淚となり、
そつとわが心に忍ぶ。
おどろきやすき心の猫は
赤いとんぼの陰影(かげ)に、
智慧なければ、欺かれつ、
古沼の鈍き日ざしと
うつろふよ、をんなの肌と
わが憂愁のながめは。
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冬
1
わがかなしみは故もなし。
わがかなしみはひえびえと
過ぎにし日を、
わけゆく風なれ。
冬のなさけのまぶしさに、
鸚哥(ゐんこ)の如くうつむきて、
うつろひ易き心の
しづかなるまぼろし描く。
2
希望は芒の穗にひかり、
冬は聲無き淚となり、
そつとわが心に忍ぶ。
おどろきやすき心の猫は
赤いとんぼの陰影(かげ)に、
智慧なければ、欺かれつ、
古沼の鈍き日ざしと
うつろふよ、をんなの肌と
わが憂愁のながめは。