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2017/03/18

SILHOUETTES   山村暮鳥

 

SILHOUETTES

 

  1

 

わが靈の如き、綠玉よ

はかなき生命(いのち)のかがやきは

鳴かで小鳥の飛ぶが如く、

或は夢に、ぬれて肌の景色となる。

さてこそ夜の序曲(プレリユド)‥‥

 

雪か懺悔の、枯れにし禾堆(つか)の上、

わすれて惱む愛欲のめづらしさに

忽ち淚の消去るなれど

時ならず、

胸なる渦の綠玉よ、

その安かさのいたづらなる。

 

季節は金と赤とに入り、

光は物のかげを匍(はらば)ふ。

 

[やぶちゃん注:「SILHOUETTES」シルエット(影絵)の複数形であるが、ここは語源元とされるフランス語として提示していると読むべきで、音写するなら「シルウェット」である。

「禾堆(つか)」穀類などの収穫後に実を採った後の藁を積み上げたもの。因みに民俗学的には、稲などの主穀類の田畑に築いたそれは、田の神が山の神として帰るまでの仮の住居として設えられたものであった。]

 

 

 

  2

 

見よ、にほやかに夜ぞ下(くだ)る、

それとなき月の光を。

君がうれひに夜ぞ下る、

夢の如くもにほやかに

ひと本(もと)のしだれ柳を、

やつれたる蚯蚓(みみず)の歌を。

 

[やぶちゃん注:「蚯蚓(みみず)の歌」「ミミズが鳴く」という古い謂いに基づいた感覚表現。無論、ミミズ類(環形動物門貧毛綱 Oligochaeta)は発声器官を持たない。実際には直翅(バッタ)目剣弁(キリギリス)亜目コオロギ上科ケラ科 Gryllotalpidae のケラ類(或いは本邦では Gryllotalpa 属ケラ(螻蛄)Gryllotalpa orientalis:初夏、♂が土中の巣穴を共鳴箱のように用いてかなり大きく鳴き、その声は「ジーーー」或いは「ビーーー」と聴こえる。但し、参照したウィキの「ケラによれば、♀も鳴くという)のそれか、或いは、剣弁(キリギリス)亜目キリギリス下目キリギリス上科キリギリス科ササキリ亜科 Copiphorini族クビキリギス属クビキリギス(首切螽蟖)Euconocephalus thunbergiウィキの「クビキリギスによれば、夜行性で、春から初夏にかけて『草本や樹上で鳴き、鳴き声は日本語圏では「ジーーー」ないし「ヴィーーー」と電気の変圧器のように聞こえる。声の似るケラとしばしば聞き間違えられるが、ケラが地中、地表で鳴いているのに対し、本種は草上や樹上で鳴いている。初夏になり気温が上がると朝に鳴くこともある』とある)やその近縁種の虫声の誤認である。

 

 

 

  3

 

燕は、世にも悲しけれ。

あやめはさけど我が感覺に

あたらしき希望は歸らず、

あやめの花のものうさよ。

あやめの花の、さても白きを、

我が好めるは

死の如く、水面に落つる其影、

惱ましけれどその音なき影。

 

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