ある時(三篇) 山村暮鳥
ある時
蜻蛉(とんぼ)のはうでは
子どもを弄(からか)つてゐるのであつた
よくみると
そしてあそんで
ゐるのであつた
おなじく
千草はほんとに
なんでもしつてる
──あれ、あれ
とんぼが
みんなそろつて
飛行機のまねしてゐる
おなじく
千草はなんでも知つてゐる
そして自分達にをしへてくれる
──黄金蟲がきた
燭火(あつか)を食べにきたんだ
[やぶちゃん注:「燭火(あつか)」これは赤い或いは明るい対象物を広く指す幼児語の「赤(あっか)」であろう。]

