讀經 山村暮鳥
讀經
くさつぱらで
野良犬に
自分は法華經をよんできかせた
蜻蛉(とんぼ)もじつときいてゐた
だが犬めは
つまらないのか、感じたのか
尻尾もふつてはみせないで
そしてふらりと
どこへともなくいつてしまつた
[やぶちゃん注:彌生書房版全詩集版では「じつと」を「ぢつと」とする。言っておくと、ここまでの詩篇で山村暮鳥は「じつと」と「ぢつと」を等分に使用している。歴史的仮名遣としては「ぢつと」が正しいとする論理性は全く、ない。寧ろ、江戸よりも前は「じつと」の表記が主流であり、「ぢつと」になるのは江戸から明治までである。]

