譚海 卷之二 河豚の油燈に用る事
河豚の油燈に用る事
○營中寢殿の燈火は、河豚(ふぐ)の油を用(もちゐ)ると也。ふぐの油はよく凝結するゆゑ、地震(なゐ)にもゆりこぼす事なし、市中に來る河豚のはらわたなきは、その膏油(あぶら)を絞り取(とる)爲(ため)にて拔取(ぬきとり)てこすゆゑ也。房總の海邊り毎日油二升を供すといへり。
[やぶちゃん注:内臓がないのは、単に有毒な内臓を除去してただけだけだろう、などと思い込んでいたところが、ブログ「とらふぐ書店」のこちらに『江戸時代、上流階級や宮中で行灯の油に河豚の脂が使われました』。『河豚の油は臭いが少なかった為に利用されたようです』とあった!
「營中寢殿」江戸城内の将軍の寝室。
「膏油(あぶら)」私は二字で「あぶら」と訓じたい。]
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