ゆふがた 山村暮鳥
ゆふがた
ゆふがた
庭さきを掃除してゐると
そこへはるばる木の葉のやうな
葉書が二枚まひこんできた
二枚とも、まあ
むかしのむかしのをんなからで
その一つにはかうあつた
めつきり寒くなりました
此頃おからだはいかがですか
私はもうとても長いことはありますまい
も一つのには
かうしていつもいつも
酷い貧乏ばかりしてをりますが
そんな中でも子どもだけは
なんともいへず
かあいくかあいくそだちます
自分は無心で
とつぷりと暮れた頭のうへをしづかにみあげた
けれどどんよりした天は
いまにも雪でもおとしさうな
おう、星よ
自分は一體どうすればよいのか
せめてはおまへだけでも
この切なさをわかつておくれ
[やぶちゃん注:彌生書房版全詩集版。「そら」のルビのみ異なる。
*
ゆふがた
ゆふがた
庭さきを掃除してゐると
そこへはるばる木の葉のやうな
葉書が二枚まひこんできた
二枚とも、まあ
むかしのむかしのをんなからで
その一つにはかうあつた
めつきり寒くなりました
此頃おからだはいかがですか
私はもうとても長いことはありますまい
も一つのには
かうしていつもいつも
酷い貧乏ばかりしてをりますが
そんな中でも子どもだけは
なんともいへず
かあいくかあいくそだちます
自分は無心で
とつぷりと暮れた頭のうへをしづかにみあげた
けれどどんよりした天(そら)は
いまにも雪でもおとしさうな
おう、星よ
自分は一體どうすればよいのか
せめてはおまへだけでも
この切なさをわかつておくれ
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