自分はようく知つてゐる 山村暮鳥
自分はようく知つてゐる
自分はよく知つてゐる
冬につづいてくるその季節を
雪がきえると
すぐ春になることを
そこでは萬物が
まるで花嫁のやうにみづからを着飾るのだ
どんなものでも、みんな
それこそ塵(ごみ)挨のやうな蟲けらのその一ぴき一ぴきまでが
そしておたがひにうれしくたのしく
うたつたり
踊つたりするのだ
自分はようく知つてゐる
それだのに、ああ、それだのに……
[やぶちゃん注:「塵(ごみ)挨」「ごみ」のルビは「塵」のみに附されており、読者は「ごみほこり」と読むことになるが、彌生書房版全詩集版は以下に見る通り、「塵挨」の二字に「ごみ」とルビしている。そちらが正しいと私も思う。
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自分はようく知つてゐる
自分はよく知つてゐる
冬につづいてくるその季節を
雪がきえると
すぐ春になることを
そこでは萬物が
まるで花嫁のやうにみづからを着飾るのだ
どんなものでも、みんな
それこそ塵挨(ごみ)のやうな蟲けらのその一ぴき一ぴきまでが
そしておたがひにうれしくたのしく
うたつたり
踊つたりするのだ
自分はようく知つてゐる
それだのに、ああ、それだのに……
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