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2017/04/03

禿顱の圓光   山村暮鳥

 

  禿顱の圓光

 

老爺は海のなつかしさに

日にいくたびとなく

いきをきらしては

砂丘にのぼり

そこから遠くの海をながめる

もう腕から力の

ぬけてしまつた老爺だけれど

日にいくたびとなく

來てみないではゐられないで

かうしてきては

蒼々とした海を眺める

それが落日の頃ででもあると

そのつるつるに禿げた頭顱が

圓光をいただいて

わけてもまぶしくみえたりする

……海にほれぬいてゐるんだ

 

[やぶちゃん注:本篇は刊本詩集「穀粒」にはないので、彌生書房版全詩集版を用いた。標題の「禿顱」は後の「圓光」(ゑんくわう)との響き具合から「とくろ」と音読みしておく。「はげあたま」のことでそう読むことも単に「はげ」或いは「あたま」と読むことは可能であるが、矢張り標題としては「とくろ」以外にはないと私は思う。

「頭顱」音読みでは「とうろ」であるが、ここは私は「あたま」と訓じたく思う。

 本篇を以って彌生書房版全詩集版の「新編『穀粒』」は終了している。]

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