ある時 山村暮鳥
ある時
沼の眞菰の
冬枯れである
むぐつちよに
ものをたづねよう
ほい
どこいつたな
[やぶちゃん注:太字は原典では傍点「ヽ」。
「眞菰」「まこも」。被子植物門単子葉植物綱イネ科エールハルタ亜科 Oryzeae 族マコモ属マコモ
Zizania latifolia。
「むぐつちよ」鳥綱カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属カイツブリ Tachybaptus ruficollis のことであろう。「日本国語大辞典」でも茨城県の方言名として出、「H.Hiraizumi's
Birding Page【野鳥辞典】」の「カイツブリ」の「別名」にも『むぐつちよ(茨城、千葉、埼玉、群馬、神奈川)』とある。奇妙な名に見えるが、上記リンク先の別の方言名を見ると、『もぐりつちよ(埼玉、熊本、山梨)、もぐつちよ(栃木、千葉)』とあることから、潜水が巧みなカイツブリのそれに由来する「潜りっちょ」(「ちょ」は接尾語で「~である者」「~を上手くするもの」であろうと私は想像した。]