斷崖の上にて 山村暮鳥
斷崖の上にて
自分等、自分と妻と子とは
今、斷崖の上である
それを知つてゐるのは自分ばかり
然し何といふ眺望(ながめ)だ!
光りまばゆき都會の騷擾
何時見ても素晴しいものだ
風を煽る街路樹の葉と葉
人も犬も各一の方向をもつて
電車自動車の間を喘いで行くのだ
ああ何もかも
雪の來る前の都會は
水晶にでも彫刻したやうに
そして綺麗に生きて動いてゐる
[やぶちゃん注:本篇は刊本詩集「穀粒」にはないので、彌生書房版全詩集版を正字化して示した。]
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斷崖の上にて
自分等、自分と妻と子とは
今、斷崖の上である
それを知つてゐるのは自分ばかり
然し何といふ眺望(ながめ)だ!
光りまばゆき都會の騷擾
何時見ても素晴しいものだ
風を煽る街路樹の葉と葉
人も犬も各一の方向をもつて
電車自動車の間を喘いで行くのだ
ああ何もかも
雪の來る前の都會は
水晶にでも彫刻したやうに
そして綺麗に生きて動いてゐる
[やぶちゃん注:本篇は刊本詩集「穀粒」にはないので、彌生書房版全詩集版を正字化して示した。]