山村暮鳥詩集「萬物節」始動/序詩/騷擾
詩集「萬物節」
[やぶちゃん注:山村暮鳥の死後十六年後、昭和一五(一九四〇)年十二月十一日厚生閣刊の百田宗治編集責任(但し、「編纂後記」を読むに、問題のあった詩集「土の精神」同様、花岡謙二も関係しており、生前の暮鳥の校閲を経たものではない)になる詩集「萬物節」を国立国会図書館デジタルコレクションのこちらの画像を底本として視認したが、先の「土の精神」では花岡の編集に困らせられたので、一応、私が活字本として所持する彌生書房版全詩集の第六版と校合した。
但し、時間を節約するために菊池眞一氏の「J-TEXT」のこちらのテクストを加工データ(但し、漢字新字体。底本は私が活字本として所持する彌生書房版全詩集の第六版)として使用させて戴いた。ここに謝意を表する。]
萬物節
[やぶちゃん注:室生犀星の題字。]
電線、憐憫なく
さみしさの交叉で
ふり堆積(つも)る光
さらさら鳴る黍の葉
[やぶちゃん注:目次の後に扉で「1」(左頁)ときて、左下に『――未發表と思はれるもの』とある。以上の序詩は国立国会図書館デジタルコレクションの底本では、その「1」の裏(右頁)中央にポイント落ちで記されているものである。]
騷擾
大旋風に捲きあげられた
木の葉つぱと塵挨と
あやふく屋根の大鴉も――と
この大都會の大空はどうだ
何もかも捲きあげろ
畠の野菜も家家も
街上の荷馬車も馬も私も
まつぴるまの幻想と一しよに……
[やぶちゃん注:彌生書房版全詩集版では六行目冒頭の「畠」が「畑」となっている。]

