蛙の詩 山村暮鳥
蛙の詩
お杉山から日がでた
まんまるい大きなその日
その影がたんぼに浮くと
蛙が一ぴき
たつた一ぴきはづかしさうに
どこかでころころと鳴きだした
するとみんなつづいて
やかましくなきだした
[やぶちゃん注:太字「ころころ」は原典では傍点「ヽ」。この詩篇を以って「3」パートは終わっている。
「お杉山」不詳。大正六(一九一七)年当時、山村暮鳥は福島県平町新田町(現在のいわき市平地区の常磐線いわき駅周辺。ここ(グーグル・マップ・データ))に住んではいたが、本詩篇のロケーションがそこである確証はない。]