遠天の……… 山村暮鳥
遠天の………
遠天の
小さな月に
ぬれてゐるもの
ぼたんよ
寒竹よ
生死(いきしに)のたふとさにあれ
汝、山村暮鳥よ
[やぶちゃん注:標題下のリーダは彌生書房版全詩集版では六点。
「寒竹」は普通名詞として「冬の竹」の以外に、種として単子葉植物綱イネ目イネ科タケ亜科カンチク属カンチク Chimonobambusa marmorea がある。観賞用や生垣に植えられ、高さ二~三メートル、直径約一センチメートルで、節の間はやや紫色を帯び、皮に紫斑がある。釣竿などにも利用されるが、季節外れの秋に筍が出、これが非常に美味とされる。「紫竹(しちく)」とも呼ぶ。但し、狭義の後者を指しているかどうかは留保する。]