とうもろこし畑にて 山村暮鳥
とうもろこし畑にて
1
とうもろこしの花が
つまらなさうにさいてゐる
砂つぽ畠の
ひるひなかだ
つまらなさうな
その陰影(かげ)が
ながながと土を這つてゐる
2
とうもろこしの花が
つまらなさうにさいてゐる
砂つぼ畠の
ひるの月だよ
3
とうもろこしの花が
つまらなさうにさいてゐる
ちよぼちよぼとそのはやいのには
あそこの毛ほどの房がでてゐる
これでもものになるだらうか
[やぶちゃん注:この詩、「あそこ」のクロース・アップが、たらなく好き!
「とうもろこし」は総てママである。歴史的仮名遣訂正がお好きな彌生書房版全」詩集版も何故かママである。ヘンだね。なお、「1」の二行目「つまらなさうにさいてゐる」は原典では「つまならさうにさいてゐる」となっている。錯字と断じ、特異的に訂した。彌生書房版全詩集版も無論、訂されてある。因みに、底本としている国立国会図書館デジタルコレクションのそれは、読んだ輩が盛んに傍点を打ったり、『愚詩』などとトンデモない感想を書き込んだりしてあるシロモノであるが、ここには手書きで入れ替え校正記号がしてあるのは微笑ましい。しかし、この落書きをした連中、まさか未来のなって、自分の落書が画像になって世界中の人間が見ることになろうとは、全く予測しなかったであろう。惜しむらくは、落書した本人が姓名住所を書き込まなかったことである。]

