わたしの涅槃に就て 山村暮鳥
わたしの涅槃に就て
ごろりと橫に
そしてあふむけになると
いままできもつかなかつた桔梗色の
ちよつと指さきで
さはつてみたいやうな空が眼にはいる
まる裸體(はだか)のわたしをめがけて むらがつて
くるわ くるわ
何といふうるさい蠅だらう
じいつと空をみてゐると
とろとろととろけさうになる
天心で蟬がないてる
わたしはもうびんぼうもなんにもわすれてしまつて
ぐつすりと睡る
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わたしの涅槃に就て
ごろりと橫に
そしてあふむけになると
いままできもつかなかつた桔梗色の
ちよつと指さきで
さはつてみたいやうな空が眼にはいる
まる裸體(はだか)のわたしをめがけて むらがつて
くるわ くるわ
何といふうるさい蠅だらう
じいつと空をみてゐると
とろとろととろけさうになる
天心で蟬がないてる
わたしはもうびんぼうもなんにもわすれてしまつて
ぐつすりと睡る