時計 山村暮鳥
時計
空を過ぎゆくのは風である
折々、浪のやうな大風が屋根の上でくづれると
家は船のやうに動搖する
風をつんざいて起る嬰兒のけたたましい泣き聲に
ふりかかる木の葉つぱよ
闇の夜空は疲れはてて
いま、ひつそりとした風と風との間
時計が獨りうごいてゐる
時計はひとり生きてゐる
[やぶちゃん注:本篇は刊本詩集「穀粒」にはないので、彌生書房版全詩集版を用いた。]
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時計
空を過ぎゆくのは風である
折々、浪のやうな大風が屋根の上でくづれると
家は船のやうに動搖する
風をつんざいて起る嬰兒のけたたましい泣き聲に
ふりかかる木の葉つぱよ
闇の夜空は疲れはてて
いま、ひつそりとした風と風との間
時計が獨りうごいてゐる
時計はひとり生きてゐる
[やぶちゃん注:本篇は刊本詩集「穀粒」にはないので、彌生書房版全詩集版を用いた。]