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2017/04/02

自分の詩   山村暮鳥

 

  自分の詩

 

   ――房州にて――

飯がすむと

すぐ食卓は机になる

ぐづぐづ茶碗をつついてゐる子どもらはせきたてられて

食卓は机にかはる

めしつぶだらけのそのうへには

あたらしい原稿紙が延べられ

その上をペンがはしる

時には

どうしてもペンのうごかぬこともある

かうして自分の詩はかかれるのだ

また或る時には

詩がかきあげられぬので

なかなか机は食卓とならず

家族が酷くお腹をすかすことさへある

かうして自分の詩はかかれるのだ

けれどみよ

今日といふ今日はその上に

善い友からの薔薇がうつくしく飾られてゐる

かうして自分の詩はかかれるのだ

おお此の深いいのちをこめて

ひとびとの手にかほり

しみじみとよまれろ、拙い詩

 

[やぶちゃん注:ここから原典では『――大正八・九年頃』と注する「4」パートに入る。詩篇本文冒頭の添え辞で判るように茨城に転居後の詩篇である。添え辞「――房州にて――」の位置は原典通り彌生書房版全詩集版では詩題「自分の詩」の左に添えてある。]

 

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