かなしさに 山村暮鳥
かなしさに
いつぽん銀の神經
それを鼻のとんがりに立て
かなしさに
かなしさに
そのうへで
けふもけふとてくるくる廻す
麗かな冬の日の靑空
こどもは死んでしまつた
[やぶちゃん注:「廻」は底本の用字。この詩篇は後に掲げる百田宗治の「編纂後記」によって大正五(一九一五)年の作であると記されてある(因みに、これは「4」パートの『――大正八・九年頃』という添書きに反するものであって、「頃」を幅としても「噓言うな!」と言いたい気がしている)。とすれば俄然、この最終行にあらわれる「死んでしまつた」「こども」とは前年大正四(一九一五)年十一月九日に生を享け乍ら、たった三日後の同月十二日に亡くなった山村暮鳥の長男聖一郎のことしか考えられぬ。]

