あの盥舟を……… 山村暮鳥
あの盥舟を………
あの盥舟をごらんなさい
まるで達摩がうごきだしたやうではありませんか
だがおわらひになつてはいけません
あれにのつてゐるのは
海草や貝類のおかげでくらしてゐる漁夫なんです
けつして、あんなことをして
あそんでゐるのではありません
[やぶちゃん注:「盥舟」は「たらひぶね」。標題下のリーダは彌生書房版全詩集版では六点。
二行目「達摩」はママ。彌生書房版全詩集版は「達磨」とするが、とらない。何故なら、達磨大師は中国禅の典籍では「達磨」とするものの、古い写本では「達摩」と表記するから誤りではないからである。
「海草」は私は「海藻」の方がよい(正しい)と考える。]

