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2017/06/08

大和本草卷之十四 水蟲 介類 梵貝(ホラガイ)

 

【外】

梵貝 潛確類書曰樂書有梵貝大可容數斗蠡之

大者南蠻國吹之節樂○今按俗ニホラノ貝ト云大

螺ナリ佛書ニ法螺ト云是ナリ海中或山土ノ内ニアリ

大雨フリ山クツレテ出ル事アリ大ニ鳴ト云本邦昔

ヨリ軍陣ニ用テ吹之源平盛衰記ニ見ヱタリ佛書賢愚

經ニモ軍ニ吹貝コトアリ亦本邦ノ山伏コレヲフク○後

土御門明應八年六月十日大風雨ノ夜遠州橋

本ノ陸地ヨリ法螺ノ貝多ク出テ濱名ノ湖トノ間ノ

陸地俄ニキレテ湖水ト大海トツヽキテ入海トナル今ノ

荒江ト前坂ノ間今切ノ海是ナリ故ニ今ハ濵名ノ湖

ハナシ濱名ノ橋ハ湖ヨリ海ニ流ルヽ川ニカケシ橋ナリ今ハ

川ナケレハ橋ナシ遠江ト名ツケシモ此湖アリテ都ニに遠キ

ユヘ遠江ト名ツク遠江トハトヲツアハウミナリ淡海トハシ

ホウミニアラス水海ノコト也遠江ハ近江ニ對セル名也

○やぶちゃんの書き下し文

【外】

梵貝(ホラガイ) 「潛確類書」に曰く、「樂書」に、『梵貝、有り。大いさ、數斗を容(い)るべし。蠡の大なる者、南蠻國、之を吹きて樂を節(ふし)す。』と。

○今、按ずるに、俗に「ほらの貝」と云ふ。大螺なり。佛書に法螺(ほうら)と云ふ、是なり。海中、或いは山土の内にあり。大雨ふり、山くづれて、出(いづ)る事あり。大に鳴れりと云ふ。本邦、昔より軍陣に用(もちひ)て之を吹く。「源平盛衰記」に見ゑたり。佛書「賢愚經」にも、軍に貝を吹(ふく)こと、あり。亦、本邦の山伏、これを、ふく。

○後土御門院明應八年六月十日、大風雨の夜、遠州橋本の陸地より、法螺の貝、多く出て、濵名の湖との間の陸地、俄(にはか)にきれて、湖水とつゞきて、入海(いりうみ)となる。今の荒江と前坂の間、「今切」の入海、是なり。故に今は濵名の湖は、なし。濱名の橋は、湖より海に流るゝ川にかけし橋なり。今は、川、なければ、橋、なし。「遠江(とほたふみ)」と名づけしも、此湖ありて都に遠きゆへ、「遠江」と名づく。「遠江」とは「とをつあはうみ」なり。「淡海(あはうみ)」とは「しほうみ」にあらず、「水海(みづうみ)」のこと也。「遠江」とは「近江(あふみ)」に對せる名也。

[やぶちゃん注:腹足綱直腹足亜綱新生腹足上目吸腔目フジツガイ科ホラガイ属ホラガイ Charonia tritonis私は全く偶然、久しぶりに昨日、毛利梅園の「介譜」の電子化注を行い、そこで梭尾螺(ホラガイ)を採り上げたのであるが、今日、またしても偶然、やはり長く放置していた、この「大和本草」の水族の部の続きもやっておこう、と思ったところが、又しても、偶然、それはこの「梵貝(ホラガイ)」であった訳であるが、それを手打ちしながら(私の博物学関連の電子化は、対象がまず未電子化・未活字化(活字化されていても、当該書を所持しないものが多い)のものが多く、殆んど総てが影印本やネット上の粗い画像を視認しながらのキーボード上のタイピングである)、「……梅園先生……確かに、ね、『云々』とありますからね……何かから長々と引用されたものだとは思うておりましたけれども、ね……やっぱりせめて「大和本草」と出典は、ね、出すべきだったんではありませんかねぇ……」と呟かざるを得なくなった。梅園のそれは、ほぼこれの丸写しなのである。従って注も附す必要がない。昨日、附けたから、ね……]

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