トゥルゲーネフ「散文詩」全篇 神西清個人訳(第一次改訳) 「おお、わが靑春…」
「おお、わが靑春…」
おお、わが靑春、潑剌の氣よ。――曾てもかう叫んだものだ。その頃はまだ若くて、潑剌としてゐた。
あの頃はただ、悲哀が弄びたかつただけなのだ。人前には歎き、内心には樂しまうとしたのだ。
いま、私は何も言はない。聲立てて、過ぎた日を惜み歎かぬ。哀惜がじりじりと蝕む今となつては。……
「ええ、思はぬが增しだ」――百姓は巧いことを言ふ。
一八七八年六月
[やぶちゃん注:訳者註。
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『おお、わが靑春、潑剌の氣よ』 ここまでが原題となつてゐる。これは多分ゴーゴリの『死せる魂』第一部第六章第二段落の終句を轉用されたものとされてゐる。尤も用語は稍〻異る。
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但し、この註では、自身の訳の引用である「潑剌の氣よ」の部分が「潔潑剌の氣よ」となっている。特異的に誤植と断じて、「潔」の字を除去して示した。なお、私は「死せる魂」を読んだことがないので、これ以上の注を附す資格がない。]
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